今回はアニメと洋画の違いについてお話します。
単に声を当てるといってもアニメと洋画では全然違います。
アニメはアニメの、洋画は洋画の手法があります。
それではいきましょう!
現場における違い
収録スタジオにおける環境がアニメのアフレコと洋画の吹き替えでは少し変わります。
洋画の吹き替えは主に演劇集団「円」や俳優座などの劇団の人が映像の仕事と並行して関わっていることが多い為、年齢層も若い人からご老体の方まで幅広く、平均年齢が高い傾向にあります。
一方でアニメのアフレコの現場は若く、平均年齢もかなり低いです。
大部分は声優の専門学校を経て声優事務所の研究生や、預かり、所属になっている人たちが関わっています。
たまに小劇場出身の方もいます。
また、アニメの収録現場には監督や演出がいますが洋画の現場では監督も演出もおらず、現場のスタッフ、音響製作会社の担当者、クライアントぐらいなことが多いです。
決定的な違いは絵に関わるスタッフがいるかどうかですね。
芝居における違い
洋画の吹き替えをよくやっている人はアニメはやりづらいと思っていたり、アニメをよくやっている人は洋画の現場でアニメ芝居をするなと怒られたりします。
芝居における違いはなんなのでしょうか?
それは実際に演じている人がすでにいるかいないか
ここにあると僕は考えています。
洋画の場合はすでに人間が演技をし、声を発している。
つまり元となる音があります。
対してアニメの場合は二次元の絵だけが存在しており、音がありません。
無音の状態です。
「洋画は1から、アニメはゼロから」
と声優サイドの意見でよく言われています。
声優にとってアニメは全てゼロからつくならければならないが、洋画は1から作ることができるという意味で言われています。
さらに言えば
洋画のアフレコは息があるが、アニメのアフレコには息がないからゼロから作らなければならない。
これは、洋画には既に外国人俳優が演じた息づかいがあるが、アニメにはないので、その息づかいを作りあげなければならないということです。
リアリティの違い
アニメでは走ったり、ジャンプしたりと全てのリアクションに息が入っていると思います。
何かに気づいた時にも息が入りますし、照れや動揺など心情の変化にも息が入ります。
日常では音を出さないようなところでも、アニメのキャラクターが表情を変えたら必ず息を吹き込むのです。
洋画ではそんなことはありえません。
心情の変化などは基本無言の芝居になる思います。
ここからわかることは
洋画の吹き替えのリアリズムと、アニメのアフレコのリアリズムはまったく違う
ということです。
これが洋画の吹き替えをよくやる人がアニメは難しいと言ったり、アニメの仕事をよくやる人が洋画でアニメ芝居をしてしまう要因じゃないでしょうか。
やりたいことにあったスキルを身につけよう
同じ声優の仕事でも洋画の吹き替えとアニメのアフレコがまったくの別物です。
必要なスキルも変わってきます。
アニメがやりたい人はアニメのリアリティを身につける努力を。
これはたくさんアニメや本を読んで感性を磨いていくしかないと思います。
洋画をやりたい人は舞台や映像のレッスンを受けましょう。
生身の人間が演じているものに声を当てるので実際に自分で動いて見るとどういうものなのか理解できると思います。
なによりそれがリアルです。
それぞれの方向にあった努力をしましょう!